7月お届けのそうめん
島原の旅
アイデアマンが作る変わり種そうめん
今月で最後のお届けとなる「旅するそうめんポスト」は、第1回目に紹介した島原を再び旅します。
島原、特に南島原はそうめんと切っても切れない関係ということはもうすでにみなさんもご存じのことでしょう。その起点となったのが1637年の島原の乱といわれています。若干14歳だった天草四郎を総大将に、3万7千人という領民が起こした一揆、それが島原の乱です。しかし島原の乱の後、島原南部と熊本天草にはほとんどの農民がいなくなってしまい人口が激減。幕府は各藩に人数割をしてこの地に農民を移住させました。その中に小豆島からの移民者もおり、彼らによって手延べそうめんの技術が伝承されたという説があります。
また島原そうめんのルーツとしてもうひとつ有力なのが「福州伝来説」です。島原の乱より以前の1562年、海外貿易港として口之津港が開港。オランダやポルトガル、中国との交流・交易が行われていました。肥前日野江藩(のち肥前島原藩)の藩主が幕府への献上品として『素麺二千貫(御献上並び御進物用、江戸へ御仕送物)、素麺十五貫(御参勤の節、九月より霜月まで三度の御仕出)を贈った』との記録が残されており、すでに手延べそうめんは島原で作られていたのではないかとも推測されます。
いずれにせよ、島原そうめんは日本のそうめん文化を担うひとつのブランドであることは間違いありません。
野内製麺は1973年に南島原で創業した比較的新しい製麺所ですが、アイデアマンでもある3代目は島原に伝わる伝統的な手延べ製法に、現代らしい趣向を凝らしたそうめんで注目されている製麺所です。ごまや梅、レモンといった食材を練り込んだそうめんも然る事ながら、今回紹介したいのは、長崎県壱岐市から取り寄せたバフンウニを使ったそうめん。粉末にするのではなく、バフンウニを何度も漉しながら手延べ麺に練り込んでいるため、麺の色が濃く、バフンウニの風味も直に感じられるとても贅沢なそうめんです。茹でるとさらに色が濃くなり、まるでパスタのよう。実際に生ハムやトマトソースといったパスタ感覚のアレンジも楽しめます。またいくらやマグロの刺身といった海鮮と合わせても間違いなく美味しいです。
そして、もうひとつが国産よもぎを練り込んだ手延べよもぎ素麺です。よもぎにはビタミンAやEが多く含まれ、動脈硬化や老化の予防になるといわれています。コレステロールの低下、肥満や糖尿病などの習慣病の予防や改善が期待され、さらにビタミンKによる骨粗鬆の予防の効果もあり女性には嬉しい食材のひとつ。封を開けると、よもぎの爽やかな香りがふわ~っと漂い、食欲を刺激します。よもぎ餅のように餡子や白玉と合わせても美味しくいただけます。
野内製麺には直営店もあり、そこでは野内製麺の商品販売や、美味しい食べ方なども提案しています。南島原を訪れた際は、ぜひ直営店「大八屋」に立ち寄って、そうめんの美味しさに触れてみてはいかがでしょうか。
野内製麺「手延べウニそうめん」
島原伝統製法の手延べ麺に、長崎県壱岐市のバフンウニを練り込んだ贅沢な逸品。バフンウニを粉末にするのではなく、何度も漉したものを練り込んでいるため、ウニの風味と旨みを存分に味わえます。こんなそうめんは他ではなかなか見たことがありません。和風だけでなく洋風のアレンジにもチャレンジして、ウニそうめんの美味しさを発見してみましょう。
野内製麺「手延べよもぎ素麺」
国産(青森県産)のよもぎを練り込んだそうめん。よもぎには豊富な栄養素が含まれ、習慣病や美容にもよいとされているハーブの女王。まずはよもぎの爽やかな香りを楽しみながらシンプルにめんつゆと薬味だけでどうぞ。さらに餡子や白玉と合わせてデザート感覚で楽しむのもアリです。よもぎそうめんだからできるアレンジにチャレンジしてみてください。