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中国が唐の時代、遣唐使によって日本に持ち込まれたそうめん。日本における麺文化のはじまりです。当時は索餅(さくべい)という、餅米の粉をこねて伸ばし捻ったお菓子として伝わりました。宮中の儀式や饗宴に珍重されていたそうで、最近では元日の宴会にもおもてなし料理として饗せられていました。 さて遡ること1200年余り。日本最古の神社として知られる三輪山の大神神社で、三輪族の氏上に任ぜられた狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男、穀主(たねぬし)が飢饉と疫病に苦しむ民の救済を祈願したところ、神からの啓示があったそうです。──肥沃な三輪の里に小麦を撒き、その実りを水車の石臼で粉を挽き、癒やしの湧き水でこね伸ばして糸状にして供えよ(三輪素麺組合のHPより引用)── 最後に「供えよ」とお言葉があったかは定かではありませんが、それが日本における手延べそうめんの起源といわれています。2mmの細さにしてもコシがあるから切れないことから、“縁が切れない”“無病息災”の縁起物となったことはいうまでもありません。 三輪そうめんはお伊勢参りで訪れた人たちを魅了し、手延べの製法も播州(揖保乃糸で有名な兵庫県)、小豆島、島原と伝わっていきました。三輪そうめんは日本におけるそうめんの発祥であり、現在でも40軒ほどの製麺所が三輪そうめんを作り続けています。当然のことなら、その美味しさは誰もが知るところでありますが、今回は定番ではない三輪そうめんの魅力を紹介します。 そうめんにも“熟成”という言葉があるのはご存じですか? パッケージに「ひね」と書かれているのが熟成そうめんです。「ひね=古」を意味し、製造から1年寝かせたものをいいます。ちなみに2~3年寝かしたものは“大ひね”といわれています。新物と比べてコシが強く喉ごしがよいのが特徴ですが、小麦の風味は新物の方が強めです。この違い、食べ比べをしてみたくなりませんか? シンプルにめんつゆでぜひ試してみてください。 そして次は、全粒粉そうめんです。パンやパスタではよく耳にする全粒粉という言葉。小麦の粒を丸ごと粉にした小麦粉のことで、米でいうところの玄米といったところでしょうか。小麦の表皮と胚芽が醸し出す雑穀感。全粒粉ならではのざらつきを抑え、喉ごしを感じられるよう工夫がされています。めんつゆでツルッといただくのはもちろん、サラダ麺として野菜とともにドレッシングをかけてもとても美味しいです。栄養価も高く健康食品としても注目されている全粒粉そうめん。一日一食、おすすめです。
今月の絶品そうめん①
巽製粉は、明治10年に三輪そうめん発祥の奈良県桜井市の初瀬川の水力を利用した製粉所として創業。オリジナルブランドのそうめん「麦坐(むぎくら)」は、厳選した小麦と三輪山の麓から汲み上げた清水とこめ油を使用したこだわりの逸品です。そのそうめんを寝かして熟成させました。“ひね”ならではの味わいを楽しめます。
今月の絶品そうめん②
三輪そうめんの中でも油を一切使わず、素材や製法にこだわったそうめん「一筋縄」を作り出した製麺所が粒粉そうめんを作りました。麺がほんのり茶色いのは表皮や胚芽が含まれているから。ツルッとした喉ごしよりも、粒々感を楽しめるそうめんです。めんつゆで小麦の風味を存分に味わうもよし、野菜や豚しゃぶと合わせて食べても美味!
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