旅するそうめん 瀬戸内編
オリーブやレモンの香りのそうめん
道の駅やアンテナショップに行くと、その土地の特産品を使ったお菓子や缶詰などを目にします。小豆島ならオリーブやごま、岡山ならマスカットや桃、青森ならりんごといった具合。その土地の食材を使っているとわかるやいなや、「食べてみたい!」と欲求がふつふつを沸いてくるのは食いしん坊の人情というもの。そうめんも然り。私たちがよく口にしているそうめんは、白くて細い麺が一般的。手延べ、機械麺、ノンオイルと製法に違いはあれど、原材料は小麦粉と水、塩のみと同じで至ってシンプルな構成。小麦の風味を一番に味わえるそうめんこそ、私たちにとっての“普そうめん”です。しかし、そうめん離れが進む昨今、食べてもらう工夫を凝らすために、その土地の特産物を練り込んだそうめんも続々と登場しています(そうではない場合もありますが)。例えばそうめんポストの初回で紹介したイカ墨を練り込んだ真っ黒な「イカ墨そうめん」や、紀州南高梅を練り込んだ「梅そうめん」など。各地の特産品を用いることで、そうめんに個性を持たせていることもありますが、原材料がシンプルがゆえに食べる人の健康を思いやっての+α(プラスアルファ)の場合もあるようです。
今回紹介するのは、瀬戸内の特産品を使ったそうめんです。
まずは「銀四郎めん(オリーブ素麺)」。小豆島には150軒の製麺所があり、軍を抜いて美味しいと言わしめる製麺所が集まっています。讃岐うどんの祖ともいわれ、もちもちとした弾力が特徴。また麺を伸ばすときに使う植物油には、小豆島の特産でもある純正ごま油が使われ、ほのかにゴマの風味を感じられると同時に、一般的に使われる油と比べて参加しにくく、そうめんの劣化を抑えられるのも特徴のひとつです。歴史のあるしっかりとした手延べそうめんなので、そのままでも十分美味しい。その小豆島そうめんに老舗農園「東洋オリーブ」で収穫した果実を贅沢に使い、伯方の塩で練った生地にオリーブオイルを塗って伸ばした手延べ技法で作ったのがこのそうめんです。ほんのりのオリーブの香りが漂う麺は、めんつゆでいただくだけでなく、オリーブオイルやチーズとの相性も抜群でイタリアン風のアレンジも楽しめます。またアジアンテイストに和風の風味をプラスするなど、いろいろな食べ方を楽しめるのも魅力のひとつです。
そしてもうひとつが、広島産のレモン果汁を使用した「瀬戸内レモンそうめん」です。広島の製麺所で作られているのかと思いきや、群馬の創業120年余りの製麺所「叶屋」発。淡いイエローの麺で見た目にも美しく、ほんのりレモンの香りが食欲をそそります。柑橘類を練り込んだそうめんはいくつか存在しているのですが、レモンは他にはありません。生ハムメロンのように、桃とレモンそうめんや柑橘系のつゆや、ドレッシングと合わせるのがおすすめです。またフルーツポンチのようにいろいろな果物と合わせていただくのもアリです。
洋風アレンジを楽しめる2種類のそうめん。そうめんの常識を覆す食べ方を楽しんでみてください。